放射線ホルミシスと言う言葉は、“少しの、弱い、微量の、少量の、低線量の・・・放射線は体に良い作用がある”という意味としてよく知られるようになってきました。
近年では少ない線量の放射線は害がないかもしれないと議論されるようになり、さらに最近では、少しの放射線は害が少なくて無視できるとされ、ついに放射線は体に良いかも知れないと考える研究者が増えてきました。
一般の人々にとっては、今までの常識が変わったのだからその影響は大きく、「人々にはこの考え方の変化」は大きな希望を与えているようです。
このもともとの提唱は、1978年当時ミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー生化学教授の著書によってもたらされたもので、先生は著書の中で、生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用があると述べています。
1980年代に入ると、低線量の放射線照射が生物の成長・発育の促進、繁殖力の増進及び寿命の延長などの効果をもたらすこともあるという研究(放射線ホルミシス研究)の中で、その結果がたいへんな話題になり、各界からも多くの注目を集めました。
ホルミシス(hormesis)という言葉は、ホルモンと同じ語源であるギリシャ語の(horme)に由来する(英語でいうto excite「刺激する」)という言葉です。
しかしある条件の被ばくで起こる生体応答には様々なものがあり、中には有益に作用する現象もあります。その有益に作用する現象を応用することでヒトの健康維持に役立てることができます。これらは、理論的には放射線適応応答は現象として生物学的に確立されているといってもいいとおもいます。とはいえ、メカニズムの解明は先のことになるでしょう。
いま、放射線による適応応答は使い方によっては生体にとって非常に有益な効果を引き出すと、考え方が大きく変わったことは確かです。しかしそのような“正しい”生体応答も一般に研究内容が正しい情報として伝わらなくては、それ自体がいかがわしいものになってしまい、まるで民間療法のようになってしまいます。
まだまだ放射線のホルミシス研究は、スタートしたばかりの新しい研究の分野。真摯な意味でのさらなる研究が望まれます。
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